• 小泉の家 Before写真1

創意工夫点

 明治中期に建てられたというこの家は,築130年を超える。先祖から受け継いだ家を直して,今後の人生を安心して心地よく暮らしていきたい,という熱い思いから計画が始まり,打合せを重ねた。民家の持つ,田の字型のおおらかな架構を利用して,古き家の記憶を留めつつ,くらしの場を設えた。暗くなりがちな古民家の内部だが,回遊動線と「抜け」を作ることで,光と風が通りぬける機能的な空間とした。当初,減築を提案した離れであるが,小さいながらも妻の実母の「終の棲家」として作り直し,建築主の要望に応えた。

選評

 130年間使い続けた家を,家族の暮らしを快適に安全なものとして,更に永く住み続けられるよう,田の字型の典型的な民家に,集いの場,食の場,水廻り,個の場などのゾーニングを考え,暗いイメージの民家に吹抜け,天窓などにより光と風を呼び込み,自然をうまく利用したプランとなっている。また,土間をコミュニティの場として活用するなど,地域との連携も取れる生活スタイルに合わせた改修と,外観も良く在来の形式の保存に努めていて,参考となる事例である。