創意工夫点

 「杜のアレイ」は三軒を一体的に計画することで,単独では難しい,豊かな緑と広がりの感じられる住まい・街並みをつくる取り組みである。
 西国街道に近接した歴史ある街にふさわしいまちづくりと,地域の材料や職人技術を積極的に活かした,ふるさとの森を身近に感じられる住まいを目指した。
 この街の成長を住まい手と一緒に見守りながら,近隣の方々にとっても大切な風景に育ってくれることを願っている。

選評

 接道が十分でない既成密集市街地の中に取得された三軒分の敷地において,3年にわたる施主・施工者・設計者間の密接なかかわりあいの中から,それぞれの区画が互いに寄り添うアプローチと,雁行した三棟の配置計画をもち,屋内外が一体的につながり,また近所の鎮守の杜をも景観に取り込んだ,新しい表情を持った小さくも豊かな街並みを創り上げた。歴史を持った既成住宅地を住み継ぐことが求められるこれからの居住の場づくりへの一つの提案として高く評価できる。