創意工夫点

 隣に子世帯の家を新築することになった。これに合わせ親世帯もリフォームを行い,三世代で支え合う暮らしが描かれた。1階は二世帯が程よい距離感を保てるよう,中庭を介してゆるやかに繋がる。中庭には子世帯の縁側を設け,親世帯の庭へと続いている。お互いが縁側から気軽に声を掛けられるような関係になった。2階は内部で直接行き来できるようにして生活の変化へ備えた。いつも家族を感じられる安心な住まいが完成した。

選評

 親世帯(リフォーム部門)と子世帯(新築部門)が「絆」を感じさせる隣居型の住まいである。世帯間を中庭の設置と動線の工夫により外・内部をつなぎ,安心と程よい距離感を保持,それぞれの世帯はダイニングに中心性を持たせ,子世帯は上部に吹抜け,親世帯は開放的な階段を設けることで1・2階の連動性の確保と家族の気配を感じられる設えである。生まれ育った土地で三世代が支え合って暮らす関係性を意識した住まいである。親世帯は耐震補強,断熱性の向上,省エネシステムの導入,子世帯は高断熱,床冷暖房システムの導入により快適で安全な生活を実現している。

 これら2つの住宅は,両親が高齢になったのを機に,実家に隣接する敷地を購入して子世帯の家を新築するとともに,築28年が経過した親世帯の実家をリフォームしたものである。この2棟は,1階は中庭を介してつながっており,2階はウォークインクローゼットを介して行き来できるようになっているなど,二世帯が気兼ねなく,安心して暮らせる住まいである。これらの住宅は,親世帯と子育て中の子世帯が近居する建て方であり,世代間の子育てや将来の親の介護等が可能な住環境となっており,三世代が快適に暮らしていける住宅の良い参考となる作品である。