創意工夫点

 柱や梁といった構造体は現存のまま残しつつ,自然光や風を取り込むプランニングを心がけた。プライベートな空間はしっかりと確保しながら,家族が集う共有スペースのLDKはオープンにし「つながり感」を意識した。さらに,そのLDKから家族それぞれの帰宅の様子がわかるレイアウトにした。
 工事期間中は離れに仮住まいしていただいているため,音の問題等の作業工程には十分な配慮を行ったことと,現場の進捗状況を密に見ていただき,理解していただくとともに,リフォーム期間を一緒に楽しんでいただけるように心がけた。

選評

 まず,建坪の大きさに驚いた。
 こういった古い家は,広いだけでなく,床の高低差が多くあり,例えば,玄関は土間で部屋に上がるのに,式台など,何段も上がらなければならず,高齢者には最も不向きで,また,転倒など危険この上ない。
 このような古民家を手掛けるのは,施主(仕事を発注する側)も,会社(仕事を受ける側・施工する人)も,大変な勇気と決断がいると思われる。
 その上で,施主の要望(希望)を取り入れ,バリアフリーに対応して,住み慣れた家(古い)を,現代建築(材料)に,マッチさせて,住み良い家(安心)に蘇らせた事に感心しました。