創意工夫点

 南北に約10m、東西に約35mと細長い敷地形状の持つポテンシャルを活かし快適に暮らせる住環境を作り出すため、約26mもの長さの切妻屋根を架けその下に住まいと暮らしをつなぐ3つの庭を考案した。必要とされる要素を満たすためその庭を操り、住まいと繋ぎそれぞれの役割を持たせることで快適な住環境を構築している。
 シンプルな構造によってつくられた建築であるが、多様な空間を生み出すことに成功した。

選評

 周辺環境にうまく溶け込んだ佇まいからは、設計者のこの地域に対する配慮が伺えた。
 室内は木がふんだんに使用され、特にリビングは屋根形状に合わせた斜め天井とすることで、ほどよいスケール感を持った心地よい居場所を作り出している。また、高断熱性能を確保するための工夫や、3つの庭をつくるなど、この家の豊さが感じられた。街中から離れた地に自然を感じられる住まいを作りたいという住み手の想いを、細長い敷地形状を上手く利用し、ここにしかない個性的な空間を実現させた優れた住宅である。