創意工夫点

 敷地は福山駅周辺で,幹線道路が近くに通り,周辺には商業施設などが多く点在し交通量が多い場所である。クライアントの要望は現在の住まいが老朽化したことから新しい住まいに建替えたいこと,現在の住まいに住みながら敷地内に新たな住まいをつくること,奇をてらう訳でもなく家族が揃って健康に生活が出来ること,長く安心して住めること,通風・採光の確保などあたり前の条件を提示された。
 現在の住まいは南面の前面道路に接しており,北側に庭や温室,倉庫などが配置され,敷地の中央に大きなビワの木があった。住まいを残し工事をすることから,温室など一部を撤去して北側にスペースを確保して建てることにした。

選評

 南面道路に面した,東西軸のプランにより展開された作品で,住みながらの建替の機会をうまく活かし,前面道路からセットバックし,既存樹木を活かした前庭の整備が図られている。佐伯杉を使い,珪藻土塗り壁とし,また構法の工夫等で準防火地域に適合する木の軒裏と外壁を実現して,安らぎやぬくもりを感じられる空間と外観を実現している。