創意工夫点

 敷地に比して建物をコンパクトに設計しつつ,ひとつながりの空間を建物中央に配置し可動壁によって大小の空間に分割可能とすることで,さまざまな使い方ができる「小回りの利く小さな家」を実現した。
 また,建物に貫入するリング状の土間が,内外のつながりを無限に続く環状のシークエンスとして実現し,これにより内部と外部との連続性をより強く意識させ,内外のアクティビティが相互に刺激しあう空間を実現した。

選評

 少人数家族,高齢期,趣味の実現という課題に対して,「小さな家」「可変性のある空間」「地域に開く」「リングで内外をつなぐ」といったテーマを掲げることにより,「老後の住まい」の新しいあり方が提案されている。前面道路との間に仕切りを設けず,建物の向きや開口部を工夫することで,住み手と外部との間に見る見られる関係を生み出している点や,柔軟性のある空間づくりで将来の展開を広げている点が評価される。