創意工夫点

 敷地は福山市郊外に位置し,両親が住む母屋の隣である。南北を軸とした十字プランは、家族が集まるリビング・ダイニングを中心に回遊性があり,引戸の操作で空間をゆるやかに分節することで,やわらかな一体感を生み出している。構造材は,広島県大峰山の佐伯杉を選定し,床や天井の内部仕上げには木材を使用し,壁は珪藻土塗りとした。自然素材とし木の持つ表情のやさしさ,肌の柔らかさを感じる空間づくりとしている。

選評

 自然の光が差し込み,風通しが良く,夏は涼しく冬は暖かく過ごしやすい。家族の団欒ができ,団結が生まれ,家事のしやすい家をめざし,両親の住む母屋と非常にバランスのとれた間隔と配置をもって計画している。特に広島県大峰山の佐伯杉を直接山林に出かけ選定するなどこだわり,内部の意匠に木の構造がよく見て取れるデザインと一体として取組み,建物全体で木を感じる空間の演出をしている。時を楽しみながら,メンテナンスを通じてクライアントと共に成長し育める住まいづくりに取組んでいる。