創意工夫点

 広島県出身で大阪在住のご夫婦が早期退職を決断、広島で古民家を購入され、再生計画の相談をいただいたところから始まった。
 全体的な風合いやデザインは一任され、「古民家の風合いを生かしたデザインを基調とした薪ストーブのある暮らし」をコンセプトにプランした。具体的なプランニングは住宅メーカー勤務の御主人の要望を取り入れたこだわりのある空間構成となっている。薪ストーブを玄関土間からの取次の部屋に配置する提案は施主に驚かれたが、寒冷地域における温度環境のバリアフリー化という設計主旨を理解いただき施工した。実際に使用いただいてからも喜びの声をいただいた。

選評

 広島の自然豊かな地域に移り住む為、空き家バンク制度を活用した事例である。
 元々ある組子や障子のガラスを残し、新しい建具や現代の照明と組み合わせるなど、新旧を上手く共存させた。薪ストーブを家の中央に設置し室内を暖める効果を上げ、床は面で支える方法で強度を上げた。庭の作業で汚れても直接洗面室に入られるよう玄関内にも工夫が見られる。
 建て替えではなく、改修により見事再生させた好事例である。