• 尾道「楽」のある住まい Before写真1
  • 尾道「楽」のある住まい Before写真2

創意工夫点

 この住宅は一度販売目的のリフォームがされており,その際に通し柱などが切られ柱も補強などされず家が傾いていた。その為耐震補強と現代のライフスタイルに即した間取りへと改善する必要があった。既存の南側大開口を生かし日中電気をつけなくても明るい空間を実現。また軒を大きく伸ばし縁側を設けることで,夏涼しく冬暖かいリビングで快適に過ごせる。家事動線はキッチンから北側に集約し,ラクで楽しくなる動線計画である。収納は適所適材適量に片づけのしやすい空間に工夫されている。

選評

 前面道路より数メートル下がった場所に家があるという敷地の悪条件,以前のリフォーム時に通し柱が切られ,家が傾いているという既存家屋の悪条件を見事に克服し,まさに「楽」のある住まいに甦った。働く主婦の要望である「家事動線」「収納計画」「広がりのあるLDK」の実現と安心して暮らせる耐震補強を両立させている。それが故,新築並みのコストが予想されながらも職人を育てる意味も込めて,あえて「空き家再生」にチャレンジした設計士及び施主の心意気にも敬意を表したい。ヘリンボーン調の床材,アンティーク家具,室内の木製建具等,インテリアへのこだわりも秀逸で,センスの感じられる素敵なお宅である。