• 岩成の家 Before写真1

創意工夫点

 1階はLDKを南側に配置して明るさを確保した。同時に和室を引戸によってLDKと仕切り,普段は大きな一室とすることで田の字型の間取りの風通しの良さを活かした。元々離れにしかなかった浴室,トイレを新設し,階段は勾配を緩やかにして架け替え,それらを繋ぐ廊下部分は吹抜けを介してハイサイドライトから安定した明るさを与えている。2階は屋根勾配に合わせて高天井とし,同時に隠れていた丸太梁を露出した。95年前の材木がしつらえの一部となってこの家の歴史を感じさせている。

選評

 この作品は日本家屋でよく見られる暗い北側に台所があり,普段使用しない南側に和室の続き間がある典型的な間取りであった。多くの住み手が同じ様な間取りで悩んでいると思われるが,この作品は,田の字型のプランの開放性や動線を活かしながら問題を解消している。また築95年で移築された事のある建物でもあるため,構造上の問題を現場でも検討し手間を掛けて解消している点も評価した。2階の梁を見せる事で天井高をとっている点も良い。今後も参考となる作品である。