• 母屋の空き家改修 Before写真1
  • 母屋の空き家改修 Before写真2

創意工夫点

 築100年の空き家になった母屋があり,横の離れに両親が住んでいた。両親が高齢ということもあり,娘家族が母屋に帰り住むことになった。祭事には親戚が集まることや両親の要望もあり,前の風情は残しつつ耐震診断に基づいて耐震補強と断熱改修をした。仏間のある続き間は残してそれ以外は柱,梁を残しつつ現代生活に合うように間取りを変更した。LDは南側に移動し梁をあらわし,吹抜とすることで明るく開放的にした。壁は珪藻土,床は無垢材に植物性塗装の自然素材とし,既存となじむようにした。

選評

 長い間,空き家になっていた母屋を,その存在感を損ねることなく「和」の雰囲気を意識したデザインとなっている。思い切って天井を撤去することによって,白壁と梁のコントラストを上手く表現しており,贅沢ともいえる広い空間を生み出している。その居間から,さりげなく配置された階段を上がると,明るい子供部屋があるという仕掛けが楽しい。玄関周りの中庭は,コンクリートの周囲を砂利で仕上げ,心地よいアクセントを表現している。この母屋が,戻ってきた家族を暖かく迎えているように感じる。