• 瀬戸田の離れ Before写真1
  • 瀬戸田の離れ Before写真2
  • 瀬戸田の離れ Before写真3

創意工夫点

 明治初期に建てられた離れ兼農業用倉庫は,一度は大工さんに建て替えをすすめられた。それでも,先祖から受け継いだモノや精神を大切に次の世代へと繋ぎたい。その想いで,施主との対話を重ね,長い時間をかけて丁寧につくりあげた。
 築140年以上前の建物を改修するために,耐震性や断熱性の向上は勿論,建物のバランスの整合を図りながら,母屋とのつながりを重視し,先祖にも誇ることができる,現代の生活に合った住まいを実現した。建物もご家族も、また次の百年へと永く続いていくことを望んでいる。

選評

 瀬戸田の古い農家の明治時代の離れ兼倉庫を見事に現代の活用に改修して,使い続けようとする意欲が感じられる作品である。景観や敷地内の建物のバランスも崩さず,機能の回復をはかった事例であり,撤去すべき部材と,残すべき部材をよく吟味し,新しい挿入部材との対比で,時の流れを表現するなど,エネルギー消費の少ない自然素材を使い,動線の自由度をはかり現代的空間を創出した空き家再生として参考となる点の多い作品である。