創意工夫点

 筆の里で有名な熊野町で周囲に田畑の広がる長閑な風景の中に,ひっそりと佇む住宅です。ゆったりと南に開かれた贅沢な敷地に平屋建ての住宅が周囲の山々に溶け込みます。空間をくり抜いたトンネル状のアプローチを抜け玄関へ導かれます。越屋根の採用により広がるリビングルームのダイナミックな吹き抜け空間に明るい光と清々しい風が通り抜けます。立ち上りを極力抑えたバスタブから目線で眺めるバスコート,直射日光の調整を兼ねた深い軒の出がデザインされたファサードを形成します。ローコストですが,ハイクオリティーを追求した住宅です。

選評

 モダンな外観ながら,日本家屋の伝統が感じられる。
 光を自由に取り込める田園地域のメリットを最大限生かした間取りは秀逸で,将来の家族構成を想定しつつ,吹き抜けや変化のある広い空間を確保することで解放感を与えた作品である。