創意工夫点

 福山市郊外の鞆の浦へ至る幹線道路沿いに建つ二世帯住宅 兼 アトリエである。敷地の南北に2つの庭を計画し,建物中央に配置した通り土間から南北の庭,そしてまちへと繋がるような「まちに開いた暮らし」ができる瀬戸内の自然環境と共生する住まいを目指した。夏は南面に設けた深い庇で日差しを遮り,冬は南面に設けた窓から差し込む日射熱を熱容量の大きな墨入りモルタルの床に蓄熱させて暖房効果を得ることで,室内環境を安定化させるような自然エネルギーを利用した住まいである。

選評

この住宅は個人住宅であるが周辺の環境やコミュニティへの配慮がなされ周辺地域と住宅のあり方の好例である。デザイン的に気負ったところが無く施主の要望に配慮しながら極細かいところまで丁寧にデザインされており非常に好感の持てる住宅に仕上がっている。自然素材や地場の職人家具を積極的に採用しながら地域性・場所性を活かしたバランスの取れた住まいづくりのお手本になる秀作である。