創意工夫点

 両親が戦前から住んでいた家。その隣の家に住んでいた施主は,子どもたち家族が帰ってくることをきっかけに,老朽化が進んでいたこの家を終の棲家として建て替えることを決断した。建築地は古くからの家が残るエリアにあり,街並みにあった重厚なデザインを希望。南側の軒は登り梁と垂木を併用。一間という深さを有し,高い日射遮蔽性とデザインを持つ。また,構造材には広島県産の杉,檜を使い,大工の手で刻んで仕上げた。

選評

 建築主の要望である「街並みにあった重厚なデザイン」は2階部分をオーバーハングすることで実現している。構造材を県産木材の利用,伝統工法の採用で次世代の大工の育成を考慮している。南側のLDKには大きな開口部を設け,一間の軒下に設置した縁側は子ども世帯との関係性を意識した住まいとなっている。外張り断熱,高気密,高い日射遮蔽,車椅子利用など高齢者に配慮した,ゆったりとした住まいを実現している。