創意工夫点

 改修した建物は,曽祖父母が近くの持ち山から材木を運び,建設した築83年の母屋。建設当時の建築主や棟梁の想いを充分に配慮することから計画を始め,現状の住まいでの問題点を改善し,必要とされている空間を演出しながら,その土地の気候や風土にあわせて歴史ある建物を再生した。
 建築主の要望により,使用する材料は天然素材に限定し,床は県産材の桧や杉板,壁には土佐漆喰塗り,建具や家具にも合板を使用しないなど,細部にまでこだわった。

選評

 築83年の代々受け継がれてきた施主の家への熱い想いが詰まった施工例である。設計者はその想いを当時の施工方法や風土・素材等を十分配慮して造りあげている。また耐震性・断熱性・採光採風等の問題点も施主の要望を聞きながら解消している。設計力や工事技術が必要な作品であり評価した。