創意工夫点

 採光に不利で一般には人気の無い北入り敷地にすることでコストダウンを図り,狭小地特有の周囲からのプライバシーの確保,そして光と風の共有を図るための天空光,吹抜けを遮らないガラスブリッジの提案,空間を仕切る壁は必要最小限に抑えるなどの工夫を採用することによって,薄暗い空き地だった頃の面影が思い出せなくなるくらいの光に溢れ,そしてその提案の延長から家族がつながり感も一層増した暖かい空間が完成した。

選評

 市内中心部に建つ22坪の狭小地に,コストという現実の壁の中,建築主の希望を折り込みながら面積以上の広がりのある空間を実現したところが評価。周辺は住宅が密集している場所だがプライバシーに配慮し外部の開口部は少なくするも,グレーチングを利用したりと内部の採光は確保。住宅地の少ない広島において街中の狭小地のデメリットをうまく克服した事例である。