創意工夫点

 50年ほど前,家の周りは田や畑に囲まれていたが,急激な都市化でマンションに囲まれた空間となり,農業を続けてきた土地所有者から「この農地をマンションにすることなく,生まれ育った地域に住み続けたい」という相談を受け,宅地開発を行った。既存の家に接して新たな住宅を受け入れることで,次の世代へと住み継ぐことが可能となり,自らも新たなコミュニティーの一員となった。
 既存の母屋と8棟の新築住宅は統一感のある美しいまちなみを構成し,新たに引き込まれた道路は団地のコートとなり,一体感と安心感を享受するだけではなく,共通のコートを介した生活で自然にコミュニティーが生まれる,地域を繋げる家づくりを目指した。

選評

~魅力的なタウンハウスの創出~
 提供する土地所有者へデベロッパーと設計者が一体となって,企画・提案を行い都市郊外の宅地を高層住宅以外での活用へ一石を投じている。コモンスペース的要素により,集住体をサステナブルな住環境の創出へと導いて,南入り・北入りの町屋風の魅力的な戸建住宅となっている。また,各戸の北側採光等も効果的に空間演出されている。