創意工夫点

 敷地は建物が乱雑に建ち並ぶ密集地に位置し,南北二面の道路に接している。
 この密集地の中でプライバシーを守りながら明るく開放的に暮らせるよう,南北二面の道路を繋ぎ合わす,町家のような通り庭をつくり,密集した環境に空いたスペースを生み出した。この通り庭が,住まいのアプローチとなり,光を導く縁側となり,風の通り道となり,子供達の遊ぶ中庭となり,様々な役割を担う場所として外と内の境界を緩やかに繋げ,窮屈な環境にゆとりをもたらす場所となっている。

選評

 住宅密集地の南北二面道路に面した敷地において,玄関へのアプローチ(通り庭)を取り入れながら採光・通風に工夫され,シンプルな造りでありながらプライバシーも確保された設計である。
 通り庭が,近隣とのコミュニケーション・子育てにも有効に活用されるスペースとなる可能性を含む建物だ。