創意工夫点

 34年前に建てられた木造住宅。次世代に引き継がれたいま,“いま”と“これから”の暮らしに合わせてリノベーションを行った。
 床・壁・サッシの断熱化や耐震壁の追加など技術的な性能の向上と共に,階段上部の屋根を抜きハイサイドライトを導入。自然採光を可能とし,通風を促す階段をいえの中心として回遊動線を設け,各室を繋いだ。回遊動線廻りのガラス壁や格子戸を介して互いを窺い知れる計画とすることで,多世代が共に暮らすいえとして,一つ屋根の下に暮らすことを常に意識できるよう配慮した。

選評

 古民家というほど古くはないものの,現代のニーズに合わなくなった住宅は多く存在する。これは,34年前に在来工法で建てられた一般的な木造住宅が,屋根に新たに穴を開けるという思い切った方法により,生まれ変わった好事例である。ハイサイドライトとつながる吹抜けや階段を家の中心とすることで,光や空気や人の循環が可能となり,住環境が大きく改善されている。ほとんど変化していない外観において,新設屋根が象徴的である。