• 古きが活きる瀬戸霧の家 Before写真1
  • 古きが活きる瀬戸霧の家 Before写真2

創意工夫点

 穏やかな瀬戸内海を一望できる立地を活かし、南側の開口を中心に間取りを計画。内部の構造体をスケルトンにすることで基礎を含めた構造補強を明確にした。どの材をどう残すか、構造上どこを補強すべきか、そのひとつずつを施主と対話しながら、施主・設計・施工それぞれの立場で慎重に判断を積み重ねた。既存の立派な木組みを現しながら、断熱性・耐震性も向上させ、末長く快適に暮らせる住まいを目指した。

選評

  江田島の海を望みながらスローライフを営むという建築主の夢と、それを受け止め丁寧に根気強く実現した工務店の協働が、築80年で5年の間空き家だった住宅を蘇えらせた好事例である。基礎・柱の構造的補強,断熱改修の堅実さだけでなく、天井裏の小屋組み表しと珪藻土壁の左官技術の調和、キッチンなどの造作家具のつくり込みなど長い間に培われた担当工務店の総合的な技術力は特筆すべきものがある。

 瀬戸内海を見渡せる景観を有する築80年の空き家を改修した事例である。
 既存の木組みを現しながら断熱材の吹き付けやベタ基礎補強を行い住宅の基本性能を高めており、地域材や無垢材を使用した新旧調和した温もりを感じさせる住まいとなっている。また、不要になった洋室をビルトインガレージに変更するなど施主のライフスタイルに合わせた暮らしやすさに配慮したリノベーションの好例である。