• 酒蔵通りの古民家 Before写真1
  • 酒蔵通りの古民家 Before写真2

創意工夫点

 西条の酒蔵通りに面する築150年の建物。今回,周りを工場に囲まれ暗く閉鎖的で物置状態になっていたこの建物の2階を,若夫婦ご家族の棲家として改修。構造的,意匠的,温熱的に,快適な空間にと検討を重ねた。少ない開口部の中で明るく広々した雰囲気を作る為に,木構造を整え,LDを中庭に向けて大きく開き,光が中に広がる素材,形状とするなど工夫。アクセントインテリアも一役かって清々しい空間に蘇った。

選評

 150年の歴史を刻んだ建物が次の世代に引き継がれる。外観は酒蔵通りの伝統的な景観を保ち,2階部分を若い世帯用にリフォーム。お施主様の意向を一つ一つ丁寧に取り入れるための工夫は,まるで一粒一粒の米を大切に酒に醸(かも)していくかのよう。木構造を分析した耐震補強対策や断熱補強が施され,瀬戸漆喰により室内を明るく保ち,風の通り道も確保されている。古き良き文化と匠の技術が見事に融合しており,古民家再生の一つのモデルになり得る作品。